ボートレース福岡は、那珂川の河口に位置している。1 マークは那珂川の川面に半分近く張り出していて、風向き、風力、潮の干満によって、うねりが発生する。
満ち潮のときは、1 マーク付近で海水と淡水がぶつかり合い、複雑なうねりを発生させる。とくに北や北東の風が強いときは、博多湾からの波も加わり、より複雑になる。
うねり防止のため、1 マークの防風壁の河口側に 3 基の浮函が設置されているが、多方面からうねりが侵入するため、すべてを止めることは難しい。
また、定期的にうねりが発生していることが判明したため、調査を行った結果、博多港に入港する船舶の影響によるものが原因の一つと確認された。このため、平成 24 年 2 月から発売締切と発売時間を変更することでうねり対策を行うとともに、平成 24 年 9 月 18 日の一般戦からは、第 1 ターンマークにネトロン(消波装置)を設置するなど水面の改善に取り組んでいる。
うねりが、波と違ってやっかいなのは、選手は視覚的にその強弱を確認しにくい点だ。例えばスタート時、選手は 1 マークの直前までうねりの状況がわからない。コーナーで旋回態勢に入ったところで初めてうねりに気づき、スロットルレバーから思わず手を離すケースも多い。とくにセンターからアウトの艇が、まくりを狙おうとして、うねりに乗ってしまい、まくり不発に終わってしまうシーンも多い。うねりがあるときに、まくろうとするなら、スリット過ぎで他艇より 1 艇身以上飛び出して 1 マークまでに内に寄る、いわゆる「絞めまくり」以外は、アウト艇の出番は少ない。
うねりがないときは、状況は一変する。引き潮時、とくに西向きの弱い風のときは、1 マーク付近は静水面になり、アウト艇も思い切って握って回れる。
全国的にみて、福岡はインが弱い。
①「うねり」発生時は、中外からのまくり不利②2 マーク側の奥行きが狭く、中外艇が大きく引いてダッシュをつけにくい・・・
など、イン有利な条件がそろっていても、インの 1 着率は年間を通して 30%強と、全国平均を下回っている。
1 マークがスタンド側に、2 マークが発走ピット側に大きく振られているのも、インにとっては過酷な条件になっている。これは全国的にほぼ同じ状況だが、福岡はとくにインの回りシロが少なく、高度な旋回技術が求められる。
発走ピットから小回り防止ブイまでの距離が短く、1 分 50 秒の待機行動時間では、流れ込みの状態になりやすいのも、インには不利な材料。とくに前づけでインに潜り込んだ場合、スタートラインから 100m以内になることも。
一般的には、温度が上がってエンジン自体のパワーがダウンする夏場は「アウト有利」、気温が下がって空気の圧縮比が高くなり、パワーアップにつながる冬場は「イン有利」。とくに福岡は、冬場はイン有利なホーム追い風の日が増え、夏場はダッシュ艇に有利なホーム向かい風の日が多くなる。
ほかに、福岡の水面特徴を挙げるとすれば、2 マークの引き波。スタート時に発生した波で、2 マーク付近がざわつき、思わぬ波乱を起こす。2 マークを先に旋回した艇が、波に乗ってキャビテーションを起こし、後続艇に逆転を許すシーンも。この波の状態は、走り慣れた地元選手は熟知しており、バックストレッチの隊形次第では、逆転を狙った鋭い切り込みを披露することもある。
ボートレース福岡で、舟券の勝ち組になるためには、潮と風を読みきることが大事だ。