つないだ『伝統』。2年連続でグランプリ出場
ボートレース王国福岡には、脈々と受け継がれる『黄金のたすき』がある。
86年にボートレース住之江で第1回グランプリが開催されて以降、昨年まで途切れることなく至高の舞台に出場者を送り続けているのは福岡支部だけ。
昨年、その伝統が途切れるかと思われたが、救世主となったのが篠崎仁志だった。
勝負駆けとなった11月下関チャレンジカップで優出(3着)。見事に2年連続で18強入りを果たした。
2度目のグランプリは2走して4、5着。ファーストステージで早々と姿を消すことになったが、この結果に関しては言い訳をすることなく、こう振り返った。
「自分の力不足。それに尽きます。でも初出場の時は何も分からなかったけど、昨年行って本気でグランプリを勝つなら18人じゃなくて、上位6人の中に入らないとダメなんだと痛感しました。それくらい大きな差があります。だから、今年はまずベスト6に入るのが目標。やるしかないです」
気温の上昇がリズムアップのサイン
迎えた2018年はここまで6優出2V(5月17日現在)。3月戸田周年での優出(6着)はあるが、目立った成績は残せていない。
ただ、慌てる必要はない。気温の上昇とともに、調子を上げていくのがここ数年のスタイルだ。
「夏場が強いと言うよりも冬が苦手なんです。年明けから毎年頑張ってるけど、うまくいかない。調整面を含めて自分に気づけてないところがあるんでしょうね。でも昨年、一昨年と気温が上がってから成績を残せたのは自信になってます。本当は1年間安定して力を出せれば一番いいけど・・・。そういう意味で課題は山積みですね。全ての面でレベルアップしないといけないし、そうしないとトップ6なんて現実的じゃない」
今やSG制覇に最も近い存在とも言われるが、まだまだレーサーとしては未完成。
この先、仕事に対してどう向き合い、どれだけ継続してやり続けることができるかで、未来は大きく変わっていくに違いない。
博多では頑張るのが当たり前
兄・元志がひと足先にデビューしたこともあり、地元福岡のファンからは、ルーキーの時から一際大きい声援を浴びてきた。
今年3月には区切りの博多10Vを達成。その熱い声援は大きな原動力となっている。
「福岡で生まれて、育ってきた自分にとって、博多はホームプールだし、思い入れは強いです。10Vはできたけど、もちろん通過点。博多を走る時は常に頑張るのは当たり前。6月の周年ですか?最低でも優勝戦には乗っていたいですね」
プライベートでは大のボクシングファン。その周年記念最終日にはボクシングWBC世界バンタム級元王者の山中慎介さんが来場予定だ。
例年だとゲストが表彰式のプレゼンターも執り行う流れだが、それを聞くと「山中さんが来るんですか?じゃあ優勝して一緒に写真を撮りたいですね(笑)」と少年のように目を輝かせた。
これからが得意の季節。3年連続のグランプリ出場に向け、猛チャージに期待したい。