4年連続の登場となった年末のクイーンズクライマックスシリーズ戦。
中川りなは勝負駆けの4日目後半カードで先行艇を追いかける際に失速し、妨害失格。ヒヤリとする事故でケガがなかったのは不幸中の幸いだったが、そのまま帰郷。地元で迎えた大舞台は不完全燃焼のまま終わった。それでも2021年は5月江戸川でデビュー初Vを飾り、勝率や1着本数など全ての数字でキャリアハイをマーク。賞賛に値する軌跡を描いてみせた。
「最後は申し訳なかったけど、初優勝もできたし、レディースチャンピオンやヤングダービーなど走りたかった舞台で新しい経験を積むこともできた。いい1年だったと思います」
高校時代はカヌー競技で全国大会にも出場し、スポーツ推薦枠でボートレーサー養成所に112期生として入学。周囲の期待は小さくなかったが、13年5月のデビュー以降は鳴かず飛ばずの日々が続いた。デビューからの3年間で挙げた白星はわずかに2勝。選手を続けられるかどうか崖っぷちに追い込まれた。
「選手になる前は活躍してA1級になって…と思っていたけど、勝てなさすぎていつしか〝手の届かない目標なのかな〟って。諦めに近い気持ちの方が大きくなりましたね」
周りの支えに感謝しながら急成長
幸運だったのは福岡支部という恵まれた環境に身を置いていたこと。結果が出せず苦しむ中川に師匠の中辻崇人を始め、先輩たちは時に厳しく、愛のあるエールを送り続けた。小野生奈は妹の真歩さん(21年1月引退)が中川と同期だったこともあり、背中を押し続けた一人。小野は「宿舎の部屋が一緒だった時に〝このままじゃダメやろ〟って厳しいことを言いました。そうしたら次の日から目に見えて変化が感じられて。メンタル強いな~って(笑い)。考え方ひとつでここまで変わるのかって驚きました。今は選手としてももちろん、
人としても立派になりましたね」と現在の成長ぶりに目を細めている。
もともとデビュー時から旋回の評価は高かった。そこに〝やる気〟というスパイスが加わったことで急成長を遂げていく。私生活では20年4月に結婚。これもひとつのモチベーションアップにつながった。
「結婚してすぐに家を建てました。帰ると楽しいし、頑張らないといけないなって思わせてくれますね。今年はまずA1をキープすること。プレッシャーを楽しむ1年にしたいです」
年末のベスト12まであと一歩!胸を張って頂点を目指す
昨年レディースチャレンジカップ終了時点の賞金ランクは15位。12位との差はわずかに80万円だった。あと少しの差を埋めることができれば、年末のベスト12も見えてくる。
「やっぱりシリーズ戦とは別モノですよね。ピリッとしているし、あの独特な緊張感を味わってみたい。今までは自分なんてと思っていたけど、届くところにあるなら自分も目指していいのかなって思えるようになりました」
デビューしてからの歩みはゆっくりだったが、自分のペースを崩さずに成長を続けられた強みがある。これからもマイペースで一歩一歩。右肩上がりの成長曲線を描き続け、目標の舞台を目指していく。