江戸川のGⅠ初Vで変わった
GⅠ初優勝、SG初優出で枝尾賢は大きく変わった。機力と旋回力を出し切って結果を残してきた。2019年9月が転換期になる。
この優勝がボートレース人生を大きく揺り動かした。
江戸川周年では、逃げてGⅠ初優勝を飾った。
89期では初のGⅠ優勝選手となった。
「エンジンはびっくりするくらい出ていました。これなら何とかなりそうと思っていたら、優勝できました」
ピット内では以前と変わらない振る舞いだ。同時に周りの変化を感じていた。
「あの優勝でいろんなことが変わりました。僕自身は変わったつもりがなくても、いつも誰かに見られている感じがします。ドリーム戦に乗せてもらえる回数が増えました。お客さんに舟券を購入してもらえているのも、意識するようになりました」
タイトルを取ったことで、以後の斡旋も変わる。同年12月のグランプリシリーズ(住之江)でSG初出場とともに予選も突破。
それは飛躍へのプロローグに過ぎなかった。
低調機でも鳴門でSG初優出
2020年も勢いが衰えることはなかった。江戸川周年のように、いつもエンジンに恵まれている訳ではなかった。その試練を乗り越えることによって大舞台で優出を重ねた。
2月のGⅠ九州地区選手権(からつ)では、「伸びがないし、出足も良くない」ところから始まった。それでも、本体整備とペラ調整で上向かせた。優勝戦では4コースから2着。
「エンジンはいいとは言えなかったけど、リズムは良かったです。調整も思った以上にうまくいきました。優勝戦では回り足は来ていました」
7月のSGオーシャンカップ(鳴門)でも、エンジンを引いた瞬間は「今節は厳しい」とこぼすほど。しかし、初日のセット交換が実を結んで、得点率6位で予選通過。準優でも瓜生正義に続く、2着を死守してSG初優出を決めた。
「前検で出ていないのが分かって、すぐに整備したのが良かったです。西山(貴浩)選手、池永(太)選手のアドバイスを聞いて良かったです。エンジンはまともになりました。準優や予選の1枠は緊張したけど、うまく行きました」
優勝戦は5着。優勝した峰竜太との違いも感じ取った。
「峰選手が出ていましたし、自信もありそうでした。でも、僕も優勝戦はリラックスして臨めました。雰囲気は独特だったけど、気持ちの面で楽しむことができました。いい経験ができました」
刺激を受けた同期と一緒にダービーへ
2020年の優勝は3回を数える(8月24日現在)。
10月のSGボートレースダービー(大村)への出場も決定。さらに嬉しいことがあった。89期の同期、江夏満と一緒に出場する。
「『一緒にSGに行こう』という話はしていました。その願いがかないました。同期で一緒にSGに乗れるのは嬉しいです」
同期でも江夏の他に、山田雄太、君島秀三など活躍している選手はいる。ただ、みんながそろって活躍できていない。
「僕を含め、みんな浮き沈みが激しくて…。まだまだ活躍できる年齢だと思っているので、一緒に走って結果を残したいです」
ダービーの舞台となる大村では過去3回の優勝歴がある。
「大村は好きなレース場なので、いい部分を見せられればと思います。ナイターになって1回しか走ってない(2019年12月・周年)ので、早く変化をつかみたいですね」
SG、GⅠで乗る機会が増え、結果に結びついている。遅咲きの89期生の反撃は、枝尾賢の躍進にも直結する。