一気に注目を浴びた「令和元年」
華やかに、かつ大胆にボートレースを盛り上げる女子レーサー。ただ、強豪男子を相手に互角に戦える女子選手はトップの数人のみ。その中で2019年、最も飛躍を遂げた選手と言えば大山千広と言えるだろう。
まず、5月福岡SGボートレースオールスターにファン投票4位でSG初出場し、いきなりドリーム戦出場。8月蒲郡プレミアムGⅠレディースチャンピオンでは最年少優勝。11月福岡GⅠ福岡チャンピオンカップ開設66周年記念競走で優出。さらに桐生SGチャレンジカップで女子最年少SG予選突破と数々の記録を塗り替えた。2020年の前期勝率は7.55(女子1位)で初の7点台に突入。
「昨年はSGとかGⅠに初めて出させてもらえた年だったので、やはり勉強が出来た年と言えますね。今までとは違う舞台を走れて、もらった刺激とか感じることがたくさんあって、すごい充実した1年でした。まあ、結果だけ見たら私の実力以上の結果を残せたと思います」。
2018年の年末は女子賞金13位。クイーンズクライマックスは次点で悔しい思いをしたが、2019年は堂々賞金トップで出場。優勝こそ逃したものの、見事に賞金女王に輝いたのは大きな価値がある。
トップレーサーと戦って感じたこと
昨年の同時期、大山は常に「男子選手と戦うにはターンスピード、旋回力が課題」とテーマを挙げていた。その点について、この1年間でどう変わったのだろう?
「課題は同じですね。SGやGⅠで強い選手と戦って舟の向きとか、はるかに違ったので…。さらにこの課題は大きくなりましたね。今のままでトップに追い付けるのかと不安もあります。逆に、目に見えて差を感じたからこそ楽しみな部分もありますけど」。目先の結果を求めているのではなく、いずれはボート界のトップレーサーと互角に戦いたい。挑戦者の立場として自分がもっと強くなりたいという一心で努力している。
昨年は賞金ランキング29位で住之江グランプリシリーズに初出場。間近でグランプリ18人のしのぎを削る戦いを見た。もちろん、肌で感じることは多くあった。
「ボート界の頂点で走る選手はすごい格好良かった。自分の力が付いて来て将来SGも取りたいし、グランプリにも行きたいなと思ったけど、その前にまだ全然。それに見合うだけの自分の技量を早く付けたいと思った方が大きいですね」。
ファンの応援が大山の励み
福岡SGボートレースオールスターで集めた票数は1万3294票。この数はファンの大山に対する期待値でもある。
「私をSGの大舞台に連れて行ってくれたファンの力は大きいですし、調子が悪いときでも変わらずに応援してくれるのは本当に励みになります。ファンの皆さんもこれから私の成長を楽しみにしてもらえたらうれしいですね」。
「令和元年」はゴルフ界の渋野日向子、JRAの藤田菜七子らが大躍進した。大山もその2人に負けないレベルの活躍だった。
これからもボートレース界の女子トップとして輝き続ける。