メンタル面の修正で中盤からリズムに乗った2017年
2017年は15回の優出で優勝4回。6月の宮島「ウエスタンヤング」で優勝し、さらに8月若松SG「ボートレースメモリアル」で2回目のSG優出を決めた。11月の下関SG「チャレンジカップ」も初出場。最終的に賞金ランキングは24位で締めくくった。
「序盤は我慢のレースが続きましたが、そのわりに最高勝率(7.67)も残せたし、賞金も上位に入れた。結果的にいい年でしたね」
序盤の我慢とは2016年はF休みが多かったのでSに気を付けて走っていたこと。少し弱気な部分が出ていたかも知れない。それでも、5月福岡SG「ボートレースオールスター」後からは尻上がりに調子を上げてきた。
「このままではダメと思って、オールスター明けから意識を切り替えた。結局Sが全てレースにつながるので。そう考えると、やはりボートレースはメンタルなんだなって思う」
6月宮島ウエスタンヤングで優勝すると、7月琵琶湖GⅠ周年記念の優出。さらに、8月若松SGでも果敢に攻めるレースで成績を残した。
「メモリアルはボートレース福岡の施行者さんに選んでいただいたので優勝戦に乗れて良かったですね。少しでも印象付けられたのかなって思いました。でも、優勝はしてないので。GⅠもSGも…」
グランプリシリーズを走り終えて思ったこと
賞金ランク23位で12月住之江グランプリシリーズに出場。その年に活躍したトップレーサーしか走れない場所ではあるが、悔しい気持ちもあった。
「毎年、シリーズに行こうとは思わないです。やっぱりファンやメディアから注目を浴びている18人の中じゃないと意味がない。おまけ感を感じた(笑)。でも、初めて18人の中に入りたいという気持ちが芽生えたのは確か」
福岡支部には瓜生正義を筆頭に篠崎元志、仁志の兄弟、岡崎恭裕、平田忠則らの強豪レーサーがそろう。しかし、その中で2017年のグランプリに乗ったのは篠崎仁志だけだった。
「仁志さんだけじゃ、ちょっとさみしかった。福岡支部は強い選手が多いので自分も福岡支部の一員として、しっかり盛り上げたい」
ピット内で明るく振る舞う前田は福岡支部のムードメーカーと言っていい。前田の頑張りこそが、福岡支部全体の底上げになる。
先輩の瓜生正義からは「将太はボートに対する向上心を常に持っている。この前に会ったとき、色んな面でひと回り、いやふた回りも器が大きくなっていました。GⅠを取れる実力は持っているので、これからですよ」
福岡支部の後輩 羽野直也、仲谷颯仁の出現について
前田の期以降の福岡支部ではSGに出場する若手が少なかったものの、昨年は羽野直也と仲谷颯仁がブレイクした。ともに12月住之江グランプリシリーズでSG初出場。羽野は10月大村GⅠ「65周年記念」を制して2017年の最優秀新人賞を獲得した。また、仲谷も9月蒲郡「ヤングダービー」で準優勝し、力を付けてきた。
「2人は初めから上手でしたし、時間の問題で(SGの舞台に)来ると思っていたので。自分としては仕事面でも助かりますし、レースでは負けたくないという気持ちにもなる」
同じ福岡支部の後輩だからこそ、若手に聞かれたことは何でも教えている。今では後ろから追われる立場にもなっているが、前田も同じく上を見据えている。
「いい刺激にはなっているけど、今は上の選手に追い付きたい気持ちの方が大きい。でも、人の比較をすることじゃないですけどね」
今年の一文字は! 自分に期待している「期」
2018年のテーマを一文字で表してもらった。普通の選手なら「勝」、「攻」、「昇」などが挙げられるが、前田からすっと言葉が出た。
「期待の『期』でお願いします。自分に期待しているので。あと、自分の調子がいいときも悪いときも見てくれているファンには感謝しています。今年こそ結果を出したい」
ファンが待ち望んでいるGⅠの優勝、そしてSGでの活躍。さらに、グランプリ出場とその目標は非現実的には感じられない。年末には大舞台で活躍して、きっと恩返しを果たしてくれるはずだ。